高品質シール印刷をデジタル化してナンバリングなど可変印刷が可能に

難易度が高いシールや工業用ラベル作製を得意とする老舗シール印刷会社永井印刷様は早くからデジタル化に取り組んでいました。2009年にナンバリングなど可変印刷を効率化するため、デジタルで出力でき、ラベルやシールを高品質に仕上げられるUVプリント＆カット機「LEC-300」を導入。さらに2021年には最新シリーズの「LEC2-640」を導入しました。作業性が格段にアップし、使いやすくなった同機の魅力と活用方法について、永井社長にお話をうかがいました。

代表取締役　永井 宏和 様

シール印刷のデジタル化にいち早く取り組んできた

小ロット シール・ステッカー

当社は初代社長が印刷会社から独立して、1955年にシール印刷会社として創業し、工業用ラベルやシール、ステッカーなどを手掛けてきました。工業用ラベルは版を作り、インクを自社で調色してから、1色または2色で印刷して、ラベルの形状に合わせて型抜きするのが一般的です。こうした加工はどのシール会社でもやっていますが、弊社ではシール裏の糊の一部を利かなくする「糊殺し加工」など、難易度が高い仕事をすることで、差別化を図ってきました。

2代目・前社長の方針で、シール印刷のデジタル化に早くから取り組んできました。「これからデジタルの時代が来る」という考えと、シール、ラベルの1枚1枚にプリントする内容を変える、ナンバリングなどの可変印刷に取り組みたいという強い思いで、最初は家庭用インクジェットプリンターにロールシールを通して印刷するなど、様々な挑戦や実験をおこなっていました。そして、より良いデジタル機器がないかと様々な情報を集めたところ、ローランド ディー．ジー．に辿りつきました。最初に当社がデジタル印刷機を導入したのは2009年。発売されたばかりのUVプリント＆カット機、LEC-300でした。

作業性がアップして資材が無駄にならない

様々な部分が進化したLEC2-640

その後もさらにローランド ディー．ジー．のLEC-540を追加で導入。そして昔の機種のメンテナンスが終了になったこともあり、2021年4月にLEC2-640を導入しました。導入前には他社の同クラス機種も調査しましたが、最終的には印刷品質が高かったことが決め手です。

導入してすぐに気付いたのが、13年前の機種に比べて作業性が格段にアップし、細かい部分が修正されている点です。

まず、プリントしたラベルの巻き取りがキレイになりました。ラベルは印刷後、型抜き機にかけますが、巻き取りが斜めになったり蛇行すると、型抜きの位置がズレてロスになります。また、巻き取りが蛇行することでプリンターヘッドに擦れたりプリントに線が入るなどのトラブルにもなります。しかしLEC2-640の巻き取りはキレイなので、それらの不具合も無く、作業性がアップして資材も無駄になりません。また、以前の機種は3時間に1回、インクを交換していましたが、最新の機種はインクカートリッジの容量が増えたことで、長時間の連続稼働が可能です。夜にプリントをかけて朝出社すると完成しているので効率もいいです。他にも機械の立ち上がりが速いなど、様々な部分が進化していると感じました。

デジタル印刷がなければ売り上げが減少していた

フロアサインとグロスインクで撮影した点字シール

現在、LEC2-640を使ってステッカーやフロアサインを作製しています。ステッカーは塩ビ製が多く、トラックに貼る500×500㎜、自動車に貼る50×80㎜などサイズは様々です。グロスインクを活かした点字シールなどの注文もあります。フロアサインはサイズが大きく800㎜×2ｍ。小さいものだと、カタログの訂正シールなど。デジタル印刷の便利さを最大限に活かせるのが、自転車に貼る駐輪シールや、イベントの設営業者が身分証代わりに貼るスタッフ識別シールなどです。シール毎に全て番号が違う可変印刷なので、デジタル印刷機が活躍しています。

現在、版を使うアナログ印刷とデジタル印刷の比率が4：6になり、昔と比べて逆転しています。アナログ印刷は9月から11月にかけてリボンシールの注文が集中しますが、デジタル印刷は年中通して注文があります。アナログ印刷は大量ロットですが、単価が安いため、デジタル印刷を導入していなければ、売り上げが減少していたかもしれません。